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陽炎ーカゲロウー
第11章 散
市九郎の遺骸は鷺の案により、荼毘に付された。

「市サンは、墓に入れるより、焼いて川に撒いたらどうだろう」

「自由な市九郎殿らしいな」

「猫ちゃんはどうしたい?市サンにいちばん近かったのはあんただから、あんたが決めていいよ」

「私は…鷺の言う通りでいいと思う…」

「八尋も、それで問題ない?」

八尋は無言で頷く。

河原で、鷺の指示に従い、八尋が薪を準備し、幾人かの手下にも手伝わせ櫓を組む。

立ち昇る煙が消えるまで、四人は一言も発することなく、見送った。

四人で焼いた骨を川に流し、市九郎の葬儀は終わった。

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