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ゆずの譲れない物
第11章 ●一年生
無言でロックを解除する港さん

そして、いつもの優しい声で
「悪いヤツじゃないから!心配ない!」

ぎゅっと抱きしめてくれる

それだけで、私の不安はなくなってしまうから、不思議なものだ…

「おじゃましまーす」

「矢野!先に話があるんだが」

「何?めっちゃいい匂いしてるんだけど!」

「俺、同棲してんの!」

「犬?」

「…はぁ?」

『こ、こんばんは…』

矢野さんという方は、

驚きを隠せない様子で目をパチパチとさせ、
口を開け閉めしてる…

「ゆず、矢野!」

『初めまして、いつも港さんがお世話になっています。楠田ゆずです』

「ゆず、挨拶しなくてイイ!別に世話になってねーし!」

「片桐!お前!女に興味あったんだ!てか、モデル?」

『矢野さん、お口が上手なんですね』

クスクス笑う天使…

おいおいマジかよ!

なんだこの子!

ウチの秘書課の前田さんよりキレイじゃん!

いやー!手足長っ!顔小さっ!笑顔やばっ!

「見すぎ!」

片桐に軽く蹴られた…

「いつから?どこで?てか、何歳?同棲って何?結婚すんの?」

めっちゃ早口で次々に質問してくる…

めんどくさー

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