この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
氷解
第1章 氷解
「少しは懐いてくれるようになりましたよ」
フッと柔らかい声で話す周防。
『少しか……。じゃあ、貴文くんと陽菜子の婚約はまだまだだな』
ーーー婚約?
え? どういう事?
父の声に、私はパチリと目を開けた。
ガバっと身体を起こして、周防を見る。
シっと指をたてる周防、私の寝ていたベットに腰掛けていた。
いつものように眼鏡を掛けている周防の瞳ーー冷たい氷のような瞳で。
また、いつもの周防だーーーっ、と怯えると、周防は人差し指でそっと私の頬を撫でた。
そして電話の相手ーーー父に、周防は静かな声で言う。
「さぁ……どうでしょうか? 私と陽菜子お嬢様の婚約は、意外に早いかもしれませんよ」
『え? どういう事だ……まさか……』
「今、取り込み中なので、また追ってご連絡を致します」
と言って、周防はスマホの通話を強制終了させると、スマホを床に投げた。
「す、周防……? どういうこと?」
「お嬢様はまだ、お綺麗な身体でございます」
「え?」
周防の氷のような冷たい瞳は、もう氷ではなかった。
フッと柔らかい声で話す周防。
『少しか……。じゃあ、貴文くんと陽菜子の婚約はまだまだだな』
ーーー婚約?
え? どういう事?
父の声に、私はパチリと目を開けた。
ガバっと身体を起こして、周防を見る。
シっと指をたてる周防、私の寝ていたベットに腰掛けていた。
いつものように眼鏡を掛けている周防の瞳ーー冷たい氷のような瞳で。
また、いつもの周防だーーーっ、と怯えると、周防は人差し指でそっと私の頬を撫でた。
そして電話の相手ーーー父に、周防は静かな声で言う。
「さぁ……どうでしょうか? 私と陽菜子お嬢様の婚約は、意外に早いかもしれませんよ」
『え? どういう事だ……まさか……』
「今、取り込み中なので、また追ってご連絡を致します」
と言って、周防はスマホの通話を強制終了させると、スマホを床に投げた。
「す、周防……? どういうこと?」
「お嬢様はまだ、お綺麗な身体でございます」
「え?」
周防の氷のような冷たい瞳は、もう氷ではなかった。