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氷解
第1章 氷解
熱い炎で私を見つめる周防は

「御婚約する方には、身体を許してもよいと私は言いました。まだ婚約もなさっていないお嬢様はまだ処女でございます」

「え……あ、私」

「指だけで、気を失いましからね」

周防にそう言われて、真っ赤な顔で俯く私に、

「私にこのまま……身体を許されますか?
身体を許せば、私はお嬢様の婚約者になります。
それでもいいのですか?」


と、周防が私の左手の甲に接吻(くちづけ)た。



陽菜子の潤んだ瞳は周防を見つめる。

「……周防が、私の婚約者なんでしょ?」

「お嬢様が私を求めてくれるならば。私はお嬢様の婚約者になりたいと、そう思いながらずっとお側で…お使えしていました」

この邸に来て、私を見た周防は、私と婚約したいと、自ら父に申し出ていたのだーーーそう言った周防の顔は少しだけ、赤く染まっていた。

「でも……雅美は?」

「雅美に誘われた時、私はお嬢様への欲望を発散させようと、不埒な事を思ったのは事実です」

周防は自らを最低な男なんですと、蔑み、悲し気な瞳を私に向けた。
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