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氷解
第1章 氷解
確かに、陽菜子は生まれてから、20歳になる今日まで、交際をした男性はいなかった。

陽菜子自身も、高校生の頃は恋愛に憧れはあったが、誰かと付き合うなんて現実味がなく考えられなかった。

大学に進学すれば、そこは女子大でも彼氏がいる人も増えて。

そうなると、陽菜子も少なからず恋愛に興味を持った。

だが、今の陽菜子は周防の監視下にいる。

周防に監視されたまま、檻に閉じ込められて。

このまま出会いもなく、親の決めた男性と私は結婚してしまうかもしれない。

そう思うと、陽菜子は今の自分の人生が、とても虚しかった。
自分には未来がないーーーそんな気持ちになっていた。




20歳になってお酒を飲めるようになった陽菜子に周防がワインを勧めても、陽菜子は飲みたい気持ちにもならなかった。

それよりも、私は他の子のように、自由な生活が欲しい!恋愛がしたい!彼氏だって欲しいのよ!ーーーと、

周防の管理から逃げ出したいと、思う気持ちは高まる一方で。

だけど、今の陽菜子は周防の監視下から逃れる術が全くなかった。

常に、周防は陽菜子の側にいる。


結局、私は諦めるしかないんだわーーーと、ため息をつく陽菜子。

そんな陽菜子を、周防は氷のような瞳で見つめ続けていた。



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