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氷解
第1章 氷解
「穢れのないお嬢様が愛しくて。でも私は簡単に手を出してはいけないーーーそう、思ったのに、頭の中はお嬢様を犯していたんです」

このままでは、自分の欲望で、私を穢して、壊してしまうかもしれないと、それを恐れていたとーーー言った周防。

「雅美とは何もありません。私はお嬢様だけを愛しています」

また、私の左手の甲に接吻(くちづけ)をした。


私は周防に愛されていたのだと初めて知り、ならば、周防に愛されて、壊されてもいい。

私も周防を愛してるーーーそう思った私は

「婚約者なら……最後までシテ」

と、周防にしがみつくように、抱きついた。

周防はゆっくりと眼鏡を外しーーー

「なら、こんな下衆な男である俺の欲深い愛情。それを覚悟して受け止められますか?」

と、周防が問うから、私は頷いて周防にーーー「愛しています」と告げた。


「俺も愛している」と、言った周防。

ベットに私を押し倒した周防の瞳は、冷たい瞳ではなかった。


情欲に燃え盛る熱い、男の目をしていた。
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