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氷解
第1章 氷解
ーーーー土曜日の昼下がり、陽菜子は窓辺から邸の庭園を見ていた。
整備の行き届いたイングリッシュガーデンは周防が手入れをしている。

窓辺の下にいる周防は今日も、庭師に色々と指示していて。

そんな周防の姿を、陽菜子は目で追っていたのだが、雅美がやってきたことに気づく。

周防に話しかける雅美を、陽菜子は眉をしかめて見つめていた。

眼鏡を掛けた周防は無表情だったが、

雅美が背伸びをして、周防の眼鏡をとると驚いた顔をした。

そしてそのまま背伸びをした雅美は周防の唇に近づき、キスをした。

その光景を見た陽菜子は

「ーーーっ!」

声が出なかった。


周防にキスをした雅美は、周防の手を掴んで自分の胸に導いた。


すると、周防は口角をニヤリと上げて、自分の顔を傾ける。

そのまま、雅美の顔に近づき……


ーーーその様を一部始終見ていた陽菜子は……


「やっ!」

耳を塞いで、目を閉じて、窓辺を背にして座り込んだ。
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