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これはお仕事です。
第3章 淫らな生活
リビングは日当たりも良く、少し眩しく感じた。
白いカーテンから覗くのは都会の景色と青々とした庭であった。
窓の景色に気を取られ、ぼーっとしていた美和に、1人の男が声をかけてきた。
「何?一緒に住む秘書ってこの人?
期待外れなんだけど」
いきなり罵声を浴びせてくる男はソファに腰をかけ、身体をあっちの方へ向け、顔だけはこちらを見ていた。
随分生意気な口をきいてくる男は、スラリと組んだ長い足が美和の角度からは見えた。暗めの茶髪がよく似合っている。
「斗真。失礼だろ。」
ピシっと叱りつける辰治さんはとても父親らしかった。
すいませーん。と呟き私から顔を背けた。
「美和さんでしたっけ?父から聞いています。斗真はいつもこんなんだから気にしなくていいよ。これからよろしくね。」
握手を求めキッチンから歩み寄ってくる男性は、黒髪で韓国人のような髪型であった。流行りに疎い美和はきのこみたいな髪型だなと不思議そうに見つめた。
「握手。僕は柊人。」
細長い腕は妙に色白で不健康そうな印象である。
髪型ばかりに気を取られていた美和は慌てて、差し出された手を握り返した。
手も驚くほど冷たく人間味を感じない。
「高木美和です。家事全般できます。よろしくお願いします。」
人見知りを発揮し、淡泊な挨拶を済ませた。
学生時代から一人で過ごしてきた美和は、人を寄せ付けないことに関しては抜きに出ている。
冷静に柊人と名乗る男性を見つめる。
優しそうな雰囲気はあるが微笑みの裏には何か悟られたくないことでもあるのだろうか。
ずっと一人だった美和だからこそ、柊人の微笑みは嘘っぽく、違う人間に思えた。
「どこかで見たことあると思ったら入社式でお会いしたことありますよね?」
椅子に腰をかけていた男性が爽やかな笑みで近づいてくる。
他の二人に比べて清潔感があり、硬派な印象の男性に美和は見覚えがあった。
研修での営業成績1位の堅実そうなイケメン新入社員がいると、同期や秘書課の女性の間で噂になっていたからである。