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これはお仕事です。
第2章 家族
桜が匂い立つ頃。


高城美和(たかぎ みわ)は大手企業である株式会社華乃瀬商事へ入社した。

「秘書課配属になりました高木美和と申します。何卒ご指導の程、よろしくお願い致します。」




秘書検定は持っているかと面接時に聞かれてはいたが、地味な学生生活を過ごしてきた美和にとっては信じ堅い配属であった。

周りは誰もが振り返る美女ばかり。

高身長容姿端麗スタイル抜群のお姉様や、女子アナのような清楚なお嬢様など兎に角、目の保養になる女性が10人ほど集まった課なのである。

挨拶をした美和を品定めするように眺める秘書課一同。




「あら、今年の新入社員はずいぶんと地味な子が入ったのね。」

一番日当たりの良い席に座る見た目は30代前半くらいの女性が、ゆるりと美和の前で立ち止まった。

「地味な」と言われるのは慣れている。表情も変えず、もう一度よろしくお願いしますと頭を下げる。




「私は社長専属秘書の松野敦子(まつのあつこ)よ。
社長から聞いているわ。あなたにはこれから社長専属第二秘書として働いてもらうわ。」


その言葉を聞いた美女たちは、何やらひそひそと話しはじめた。




それもそのはず、社長専属秘書は入社20年目の松野以外就いたことがなかったのである。

周りの反応から自分は場違いな配属になってしまった事を悟った美和は尋ねた。



「あの、私にそんな大層なお仕事が務まるのでしょうか?」


大丈夫よ、と微笑んだ松野は隣の社長室へと美和を連れていった。
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