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それでも・・愛してる
第10章 気になる親子
子供たちの夏休みも終わり、街中の洋服屋の店先は、
まだまだ暑さが残っているのに早々と秋物の服が飾られるようになった。
松下不動産で働き始めて早くも5か月。
月日の流れに乗って、私の不動産屋生活もだんだんとさまになってきた、と
自分でも思えるようになっていた。
「早いもんねぇ、石田さんが来てからもう5か月・・
年取ると時間が経つのが本当に早く感じるわぁ」
カレンダーを指でたどりながら、静江さんが私に笑いかける。
ほんと、時間があっという間に感じるようになったのは、
年を取った証しなのかしら・・
「確かに、早いもんですね、時の流れは」
社長もコーヒーをすすりながら静江さんの後ろからカレンダーを目で追っている。
「石田さんもずいぶん慣れてきましたよね。
後ろで聞いてて思いますよ、間取りの説明とか結構いいとこついてるし」
横山さんが静江さんと私の分までコーヒーを淹れて持ってきてくれて、
どうぞと差し出す。