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それでも・・愛してる
第14章 充実した休暇・・・あの親子と

・・あ、あの親子!滝川・・俊哉さんだ・・
松下不動産のある駅から2つ先のこの駅で、
私の住んでいる町のこの駅で、あの親子に遭遇するとは夢にも思わなかった。
迷うことなく私は後ろから声をかけた。
今度は逃げられないように、すぐ後ろから。
「こんにちは。今日は逃げないでくださいよ」
ものすごく近くから聞こえた声に、ビクッと体を動かして振り返る。
あまりの近さに滝川さんは逃げることはすぐに諦めた様だった。
「こんにちは!」
男の子の視線まで体を曲げて、にっこりと笑いかけると、
今日は恥ずかしそうに笑ってくれた。
父親の手に両手でつかまりながら。
「あ、あの・・あなたどうしてここに?」
声をかけられたことよりも、なぜ私がここにいるのか、という事が知りたいようだった。
「住んでるんです、この駅の近くに。歩いて10分かからないんです。
住みやすいですよ、ここ。大きなスーパーもあるし、商店街もあるし。
まだ探してらっしゃるんですか?」

