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第16章 充実した休暇・・滝川さんの恋話

「彼女もすぐにＯＫしてくれて。
　付き合って１年で、私達は結婚したんです」

蘇る思い出に頭の中を埋め尽くされたのか、しだいに彼の顔がほころんでいく。

「お恥ずかしい話なんですが・・私、付き合った女性って、妻だけなんですよ」

「えー？ほんとに？」

黙って聞き続けようと思っていたが、結構な衝撃がガツンときて、
思わず声をあげてしまった。

「だけど滝川さんのことを好きだって、付き合ってほしいっていう女性だっていたでしょ？
　素敵だもの、滝川さん・・え、ほんとになかったの？」

しつこく聞いてみた。
だが彼は、いるにはいたが交際までには至らなかったんだ、と笑っていた。

「この通り口下手で、男としての積極性に欠けるっていうか・・
　いわゆる奥手ってやつですよね。それにまだまだ若かったから、
　そんなにあわてなくてもって気持ちもあったから・・
　だけど、彼女との再会は私に、私の心に火をつけたんです。
　ここで何もしなかったらきっと後悔するぞって」