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それでも・・愛してる
第19章 祝福の中で
申し訳なさそうに下を向いた陽斗の腕に、
勝手に手が動いていって再び腕を絡ませる。
みんな不安は抱えている、多かれ少なかれ。
その不安を感じさせないようにしたり取り除いたりすることが、
2人で力を合わせ、支え合うという事なんじゃないか・・
「・・ついていきます・・あなたなら・・
あなたとなら、不安を喜びに変えることができると思う。
陽斗・・よろしくお願いします」
コクリと頷いた陽斗の口がへの字になった。
それは涙を我慢する時の陽斗の癖。
中学の時、バスケの試合で負けた時、
応援しに行った私がなぐさめた時も必死で涙をこらえるために、
口をへの字にして力を入れていた。
彼の肩に手をかけて、あの頃と同じように声をかけようとした時、
再び電車が滑り込んできた。
今度はちゃんと、乗ることができた。
電車の窓から見える、スィートホームの灯り。
いろんな家のいろんな灯り。
その中に私たちの家も、灯りをともすことになる・・・