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それでも・・愛してる
第21章 私達の家探し

受話器の向こうの保留音よりもはっきりと聞こえた、静江さんの冷やかしの言葉。
聞えちゃった?と肩をすぼめながらキッチンに向かう静江さんの後姿に視線を向けながら
陽斗と目を合わせると、声を出さずにパクパクと口を動かしている。

え?なになに?・・静江さんの言う通り・・だって?

もうっ!と口をとがらせると同時に電話の相手の声が耳に戻ってきた。



無事に申し込みが完了し、一足先に陽斗は店を出て、私の部屋へと帰っていった。
静江さんは彼の後姿を見ながら、

「あの人と結ばれるためにここまで一人でいたのかもしれないわね、石田さんは」

少し震える感じのその声を聞いて、私は素直にうなずいた。
静江さんの言う通りだと。

「幸せになるのよ、彼と2人で」

「はい・・」

本日2度目の涙は、場所も考えず遠慮なく流れ落ちた。




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