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第1章 記憶・・

そうやって時間だけをやり過ごした仮面夫婦は
私が高校を卒業すると同時に離婚した。
母は出ていき、父は家に残った。

大学に入学した私と社会人になった姉は、２人でアパート暮らしをはじめた。
父は一緒に暮らしたかったようだが、
私は早く離れたくてしかたなかった。

だって・・
大人の勝手な都合に長い事付き合わされたんだもの・・

親としての愛情はちゃんと感じられた。
私のことも姉のことも、大切に育ててくれたこともよくわかっている。
夫婦関係が破たんしたって、親子関係は破たんしない。
だから親としての彼らには、ごく普通に感謝の気持ちは持っている。
でも・・
家族、としての私たちは・・成り立っていなかった・・

もうこれ以上は御免だ。
私も私らしく生きたい、そう強く思っていたので、
姉が家を出ると言った時に絶対私も一緒、と２人で暮らすことを望んだのだ。