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それでも・・愛してる
第8章 比べてみても・・

店先に貼る物件案内のチラシを手早く取り替え、次は契約書作成に取り掛かる。
その合間にお客にお茶を出し電話を取り、
ついでに自分の息抜きもできるようになった。

もう3ヶ月か・・
なにか身になっているのかどうかわからないけど、それでも体が自然と動き、
頭が覚えていると感じることができるようになっていた。
そりゃそうだ。
社会人としては20年近くになるんだから。
ずっと仕事をしてきているんだから。
周りのみんなが言っていた通り、だんだんと慣れてくる。
隣りに座る静江さんも、安心して外に出られると言ってくれるくらい、
カウンターの内側に座る姿が様になってきたという。

「最初の頃はなんだか座ってる事が落ち着かなかったみたいだったものね」

確かにそうだった。
売り場ではいつも立っていた。
立ちっぱなしだった。だからお客の前で座っていることになれるまでは、
なんだかお尻がムズムズしたものだった。


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