この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
それでも・・愛してる
第8章 比べてみても・・
「そろそろ石田さんに積極的に案内のほうも頼もうかしらね。
お部屋たくさん見てもらって。数見ればだんだんわかってくるしね。
少しづつ賃貸相談のほうも教えていくことにして。
期待してるから、頑張ってちょうだいよ」
肩の力を抜きにこやかな笑顔の静江さんを見ていたら、
なんだかできる気がしてきた。
けっこう単純な私。
さあここからが、本格的な始まり。
この仕事が自分にあうのかどうか。
やっとスタートラインに立った気分。
「はい、静江さんの教えに忠実に、張り切って覚えていきたいと思います!」
顔を見合わせ、店先にもかかわらず甲高い笑い声を響かせる。
歳を取っている女の笑い声でもそれなりに気になるらしい。
奥から顔をのぞかせた社長が、
「女性の笑い声って、なんかいいですね」
頬を下げ緩んだ顔を見せると、それを見てまた私たちは笑った。