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それでも・・愛してる
第8章 比べてみても・・

いくら仕事に慣れてきたとはいえ、この夫婦にいらっしゃいませと
声をかけるのは躊躇われた。

私が黙ってみていると、すかさず静江さんが立ちあがる。

「いらっしゃいませ。よろしければお手伝いいたしましょうか?」

その声に奥にいた杉下さんが顔をのぞかせ、静江さんが目で合図を送る。
ささっと髪を撫でつけた杉下さんが、その若い夫婦に声をかけた。

「ご購入をお考えですか?戸建をお探しのようですね、よかったら
 いろいろとご紹介しましょうか。どうぞ、こちらにお掛け下さい」

いきなりそんな声かけられたら、私なら逃げ出しちゃいそうだけど、彼らは座った。

・・買う気、あるんだ。家、だよ?・・

あっけにとられ一瞬固まったが、慌てて立ち上がりキッチンへと向かった。

麦茶を出すと若い夫婦は、遠慮なくごくごくと飲み干した。
ママの胸に抱かれている赤ちゃんは、ママの顔パパの顔と視線を動かしている。
典型的な幸せ家族って匂いが私の鼻をくすぐる・・

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