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世界は灰色で、君は虹色で
第1章 世界は灰色で、君は虹色で




 南海電車で一時間。彰人の地元の駅に着く。夜中の十一時。さすがに少し田舎なここは人が少ない。

 駅から五分、大きめの公園に着く。さすがに人はいない。私はブランコに座る。泊まりに行った時。この場所で花火をした後、苦笑いする彰人の横で思いっきり、ブランコを漕いで遊んでいたんだっけ。また、涙が零れ落ちた。ポケットから携帯を取り出し、彰人の電話番号を押す。

「もしもし」

 電話口から眠たそうな彰人の声が聞こえてくる。私は何も言えなくて、ただ泣くだけだった。

「もしもし?」

「彰……人」

「優奈か? どしたん?」

「ごめんっ。ごめんなさい、彰人っ」

 言いたいことはたくさんあったのに、いざ話すとなると何も言えない。ただ、謝っていた。

「何が? 俺は何もされてへんけど」

「会いたい。彰人に会いたい。来て」

「今から優奈の家行く電車がないと思うんだけど。なんばまでは行けても神戸までは……」

電話越しでも彰人が困っているのがわかる。

「家じゃないよ。彰人の近く……」

「えっ? 何処やねん!?」

「泊まりの時……花火をした公園」

「今から行くから待ってろ! 動くなや!」

 そう声が聞こえたかと思うと電話が切れた。ほんと最低だ。どこまで私は彰人に迷惑をかけるのだろうか。夜に私の嗚咽だけが響いた。
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