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失恋キューピッド
第14章 癒してアゲル
よく考えたら今までだって、遊びに来ていたシンジ君に『そういう』気配を感じたことはなかった。

(で、でも、二人がキスしてたのは確かだし…)

「ミユキ、シンジ君はどうして、その、あの…」

恐る恐る振り返ると、ミユキは幽霊でも見たような顔をしている。

…かと思ったら、
「ウウッ」
いきなり口を押さえて洗面所に駆け込んだ。

追いかけてみたけど必死に口を濯ぐミユキの背中に声をかけづらくて、あたしはそのまま階段を上がった。


(シンジ君がもし受験のストレスであんなふうになっちゃったんだとしたら…ミユキも危ないかも!)

ということは、今こそお母さんが言ってた あたしの『切り札』を使う時なんじゃない…?


あたしはリナちゃんに対する後ろめたさに『ミユキに道を踏み外させないためよ』と言い訳をしながら、静かに熱くロストバージンの決意を固めた。



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