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失恋キューピッド
第5章 **深之side**
俺の斜め後ろの席に案内された二人の会話はもちろん聞こえないが、辺りを見回すふりをしてチラ見すると、男が、こちらに背を向けたアユミの頭を撫でているところだった。

「…ッ」

一瞬で精神的に大ダメージを負った俺が席を立ちかけた時…
「お待たせ!」
何故か有馬リナが満面の笑みで現れた。

「やだ、高石ってばビックリしすぎ〜!そんなに意外だった?」

「意外って…何が?」

俺は自分が何のためにこの店にいるのかをすっかり忘れて、本気で有馬に尋ねた。

「え〜?高石も了承済みだって言ってたのに…シンジの奴に騙されたのかなぁ?」

「シンジ?」

『ああ、そうだった』と思い当たったが、まさか有馬が相手とは予想外もいいところだ。

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