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秘密のキスは蜜の味【完結】
第30章 遠い800㎞の距離

今日はいろんな会社から担当者が集まってる。
本当なら私も行くべきなんだけど、こんな状態じゃ…今日は遠慮させてもらおう。

「すみません部長、今日は…ちょっと」

途中まで言いかけたんだけど……

「やっぱり具合が悪いんだろ顔色が悪いからお前は帰れ」

はいすみません!
もう返事をするのも頭に響く、どうしちゃったんだろう今日は…

「宮下行くぞ」はぃ…どうぞ。いってらっしゃい!

「バカ…帰るんだよ。お前を送ったらすぐ戻るから」
えっいえいいですよ。大丈夫だからって言うのに私の腕を掴んで足早に歩き出す。

えっ?ぶちょ~ちょっと待って!

「いいから早く歩け」
「部長お願い待って頭が…割れそう」

え?あっ悪い。大丈夫か?

「痛い」です。

タクシーに乗せられると急に眠気まで襲ってくる…
そういえば昨日一睡も出来なかったんだ。

あ~だからこんな酷い頭痛になったのかな

「宮下、大丈夫か?」
「……は、い…」

身体が思うように動かせなくてとにかく頭が重い。
後部座席の窓に凭れようとすると頭に大きな手が添えられて逆側に引き寄せられた。

ん?ぶちょ~?
「いいから…窓じゃ振動で辛いだろ」
そう言って私の頭を自分の肩に凭れさせてくれた。

でもこれはダメだよ……頭を起こそうと思うんだけど部長の手が添えられたままで…


意識が薄れて深いところに沈んで行く。

「…な…時、は……俺に…甘、え、ろ………」
「………」

遠くで男の人の声…?
「鏡也くん?来て…くれ、たの」

「…い、ぃか…ら…寝…てろ」うんありがとう。

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