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秘密のキスは蜜の味【完結】
第30章 遠い800㎞の距離
グスッ、ウッ…ウッ…ウッ
鏡也君……逢いたいよ。
「愛してる」って抱きしめてほしかった。
鏡也君が遠藤さんにそんなこと言うわけない!
そう思っても今は怖くて電話する勇気がない…
だって……今電話したら終わりが早く来るだけのような気がして……完全に疑心暗鬼。
やっと手にした新しい携帯だけど、今は鳴るのが怖くて仕方ない。
無くしたままにしとけばこんなことにはならなかったのかもね……もういらないよ携帯なんて
買ったばかりのスマホの電源を切りベッドに放り投げた。
──////
どれだけ泣いても涙って枯れないんだね?
夕べあんなに泣いたのに思い出すとまた泣けてくる
「あ~ぁ、酷い顔」
これじゃどこにも行けないや……
別にいいんだ…誰かに会う予定も無くなったし!
出掛けるとしたらコンビニがいいとこ─
部屋の隅には鏡也君に会いに行くために用意したキャリーバックがそのまま
ふと時計を見ると乗るはずだった札幌行きの出発時刻、それを見てまた涙が溢れてきた。
グッ…グスッ
***
GWも終わりまたいつもと変わらない生活。
会社では自ら忙しく動き回って嫌なことは考えないようにした。
「宮下…ずいぶん頑張るけど、もう遅いから帰れ」
「あっはい」
部長は私が鏡也君に逢いに行ってやる気になったと思ってるみたいだけど……
「じゃ、部長お先に帰ります」
「宮下…ちゃんと話し合って来たんだろ?話し進めるけど──いいんだな?」
漸く気持ちが決まったところだったのに…でももういいや
「───はい…お願いします!」