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秘密のキスは蜜の味【完結】
第31章 離さないでよ……
「…いや……悪い山下…送るから帰れ」
え~?なんでぇ?
「お前俺のタイプじゃないからムリ」
駄々を捏ねる山下を何とか宥めて送って来た。
古びた俺のアパートが近づくにつれ支店長の言葉が身に染みる。
…やっぱ俺、寂しいよ…葉瑠。
馬鹿だな俺は…今頃後悔して、もう遅いのに!
アパートの鉄骨階段を上って一番奥。。薄暗い通路を進むと部屋の前に……なにか大きな荷物がある。
「……ん?//…えっ…」
玄関の前にキャリーバッグ…その向こうに膝を抱えて座り込む人影が見えた。
「………!?…」
うそだろ?──なんで…ここに…
なにやってんだよ。
「は、る?………」
「…鏡也く、ん」
俺の声に反応し立ち上がって見上げてくる…
夢じゃないよな?
今、目の前にいるのは少しやつれてはいるけどやっぱり葉瑠だ!
俺の顔を見たとたんに涙が溢れてきた。
「なにやってんの」
「鏡也…くんに…逢いたくて……ゥッ」
大粒の涙が次々に溢れて零れ落ちる…
俺に逢いにここまで来たの?
「忘れなきゃって…想うのに、どうしても、出来なくて……グスッ、鏡也君…じゃなきゃ…ダメなの…」
私がそばにいたら迷惑?……まもってくれなくてもいい、ただ近くにいるだけでもいいの……
どうしても、ダメなら…もう好きじゃないって言って?迷惑だから帰れって言ってほしい。
ヒック、ヒック、
「お願い、そしたら諦めるから…もう絶対連絡もしない逢いにも来ないからお願い」ヒック、ヒック、
わざわざそれを言いに来たの?