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恋はどこからやってくる?
第2章 暖かな部屋
それまで意識していなかった上階からの物音。
そこで生活している者を知れば、それはただの生活音ではない『音』として耳に届くことを紺野は感じていた。

「寝ようと思ったところでドアの音がしたから…」

「うえぇ、なに? 俺の生活音、丸聞こえかよ」

「いや、たまたま深夜で静かだったからですよ」

「夜更かししてんじゃねぇよ」

スマホを握ったままの裏拳が、紺野の肩に綺麗にキマった。

「いってえ…。柏木さん、やっぱ体力ありすぎ! アラサーのくせに!」

「んだとぉ? ふたつしか違わねぇくせに。お前も立派なアラサーだろが」


失恋ナイトから三ヶ月。
住む場所も勤務先の路線も同じ二人はたびたび顔を合わせ、時々飲みに行ったりどちらかの家で夕食を共にするような関係になっていた。

口は悪いがその分裏表なく感じる柏木の言動やさっぱりとした気性は、気遣う必要のない心地よさを紺野に与えてくれる。


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