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恋はどこからやってくる?
第5章 ふたりのうねり
「もう大丈夫だ。 悪かった」

体を起こして離れた柏木の頬に、紺野の指先が触れると、怯えるように上体を引かれた。
見つめた顔が悲しそうで、紺野はうなだれる。

「すみません…俺…この間の事も…」

「忘れろ、全部」

「出来ません」

「出来なくても忘れろ」

「無理です! こんなに好きなのに!」

深く息をはいた柏木は、立てた片膝に右手をついて頭を抱えた。その憂いる様子が紺野をたじろがせる。

「好きって…お前、俺のこと避けてただろ」

「それは…怖かったから」

「は?」

「柏木さんが好きだから…嫌われるのが怖かった」

「お前さ、本気で言ってんの? 俺、男だぞ」

「本気ですし、わかってます」

「わかってねぇよ…」

「柏木さんが俺の事気持ち悪がるの、わかりますっ。でも俺っ…」

「そーじゃねぇよ!」

紺野を正面から見据える柏木の目に、紺野は射ぬかれたように固まった。

「お前わかってねぇよ。男同士が付き合う事の難しさ」

「…え?」

──俺が、知らない? じゃあ柏木さんは知っているのか?

「…柏木さんはもしかして…」

「…そうだよ、嫌ってほどわかってる。……俺は…」



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