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恋はどこからやってくる?
第5章 ふたりのうねり
「俺は…ゲイだからな」



──あぁ…そうだったのか。この人が放つ不思議な色香はそういう事だったのか

柏木に焦がれ暴れまわっていた恋情が、心にストンと収まるのを紺野は感じていた。
彼の言葉は、報われないと思っていたこの気持ちに希望を与えてくれるのではないか。

「お前に話したセフレつうのは男だ。それに俺は、知り合ったばかりの相手とセックス出来るような、しょーもない人間だ」

「そんなの構いません! むしろそれなら俺と」

にじり寄る紺野に肩パンが入る。

「話を聞けっ!」

「いってえ…」

「冷静になって考えてみろ。お前、俺と手を繋いで街を歩けるか?」

「え?」

「友達に恋人だって紹介できるか? ご両親に俺を会わせることが出来るか?」

「それは…」

「お前はノンケだ。今は一時の熱に浮かされていても、この先また異性を好きになる事だってあるだろうよ。そうなったら俺は、どんなにお前が好きでも身を引くしかねぇよな」

「そんなことにはならないですっ」

「年を取っていけば家庭や家族がほしくなるかもしんねぇ。でも俺はそれを叶えてやることができねぇ」

息を飲む紺野に、柏木は悲しく笑いながら畳み掛ける。

「誰にも言えない、結婚できない、子供も持てない。だって、男同士だからな」



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