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双眸
第1章 序
ジリジリと焼けつくような真夏のような日差しの中で、己の生まれ育った里を裏の山から眼下に眺める
里の笑い声さえ己がいる場所まで届けそうな初夏の爽やかな風が、無造作に束ねた肩までの髪を揺らす
口元に笑みを浮かべ眩しそうに瞳を細め里を眺める男は年の頃十八〜十九
しかしながらその肩には里の者を束ねると言う使命が課せられていた
そう彼はこの度この里の新たな頭領となった、名を弥弦(ヤゲン)と言う
無二の強さを持つこの男は、無二の優しさを持つ男でもあった
そんな男の元へ1人の娘が嫁いでくる
時は大きく唸りながら2人を飲み込んでいくのであった