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双眸
第2章 始



じっとりと重い闇が辺りを包む


今宵は新月


動植物さえ息を潜めるようなそんな夜半


瑞乃は己が里の頭領である睦鬼(ムツキ)の屋敷に呼ばれていた


明かりなどない、一歩踏み出す爪先さえ見えない闇夜を瑞乃は何の苦もなく歩いていく


長い廊下を曲がり奥まった頭領の部屋に辿り着ける者は、いかに屋敷に住み慣れた者でも数少ない


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