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真夏の花びら
第1章 小さなひまわり
ミ~ン ミ~ン ジジジ......
ミ~ン ミ~ン ジジジ......
蝉が元気よく鳴いている。
とある私立中学に四月から赴任して来た新人教師がいた。
「おはようございます!」
元気よく挨拶しながら職員室のドアを開け、史織は職員室を見渡す。
職員室には校長が一人いるだけだった。
「ああ、おはようございます。今日も爽やかだね、紺のブラウスに白のガウ何とかって言うやつ」
「ガウチョですよ!まだ校長先生しか来ていないんですね」
「まだ時間が早いからね。ん?その手に持っているのは?」
史織は両手に持っている束になった小さなひまわりを校長に見せる。
「職員室に飾ったら綺麗かなと思って、昨日買って来たんです」
「わざわざ申し訳ない。職員室は殺風景だから有り難いよ」
「花が好きなんです。大学生の時は花屋でバイトするぐらい」
「へぇ~、確か帰国子女だったよね?いつ日本に来たの?」
「高校まではイギリスに住んでいて、大学からは日本です」
「職員室に花を飾る。海外で育つと感性が違うのかな」
史織はカバンを机に置くと、中から花瓶を二つ出して水道へ水を入れに行った。