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真夏の花びら
第4章 真夏の花びら


そう告げると二人は、更衣室のドアの方へと歩き出した。


「そうだ、大事な事を忘れていたよ」


校長は床に置いてあった花瓶を手にすると花瓶の中の水を無造作に史織に掛けた。

ビシャァ!

史織は体が硬直して動けない。ただ、記念写真のポーズのまま小刻みに震えていた。


「ゴホ!ゲホッ!」

「花に水を上げないと枯れちゃうからねぇ」


そして、二人は史織をそのままに更衣室の鍵を閉めて廊下へと出て行った。


「校長先生は、今日も愛妻弁当ですか?」

「ああ、そうだよ」

「熟年離婚が多い昨今なのにラブラブですよね」

「ラブラブという訳じゃないよ。妻が料理が好きなだけで、はははは」

「羨ましいですよ」





史織は薄目を開けると、自分の口にくわえている涙で滲んだひまわりの束が見えた。


昨日、花屋で選んだひまわり。職員室に飾ったら皆が喜んでくれると思い買った、束になった小さなひまわり。


それが今では自分の口と膣にねじ込まれて小刻みに揺れていた。


ふと、ひまわりの一片の花びらが史織の顔に落ちてきた。そして花びらは涙と一緒に床へ流れ落ちた。


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