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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第149章 蜘蛛Ⅱ
それにしても心配だ
体はすっかりびしょ濡れ
果たして生きてゆけるだろうか
しばらく注意深く見守っていると
小さな蜘蛛はのそのそと前方に向かって歩き出した
気のせいか動きに元気がないようで
ゆっくりとしか動かない
―頑張れよ。
心の中で呟き彼にエールを送る
朝の御堂は生まれたときから数え切れないほど来ているけれど
何度来ても清気に満ちている
朝早い限られた時間帯しか御堂の格子越しの光は見られない
まさに仏像が背負っている後光のようだ
名残惜しくてもう一度振り返って
清らかな光を眺める
そのまま視線を巡らしても
もう あの蜘蛛君はいなかった

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