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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第20章 憎しみより優しさの倍返しを~時代劇 花よりもなほ を見て~
糞を餅に変えるというのは、比喩的な言い方で、

 実際は心の内ある憎しみを優しさ、つまり赦す心に変えたと

 言っているのです。

 宗左は赤穂浪士の一人と交流を持ち、あるとき囲碁をしていました。

 その時、ふと幼いときに父親から囲碁を教わった想い出を思い出し、

 私が父上から与えられたのは憎しみだけではなかったと

 確信します。

 そういうことも、最終的に彼があだ討ちを断念した大きな理由の一つになったでしょう。

 また、宗左と仲良くしていた赤穂浪士もいよいよあだ討ちというときになり、

 仲間から抜けます。

 彼いわく、宗左どのが父上から囲碁を教わったという話を聞いた時、
 
 自分はまだ息子にわらじの作り方を教えていないことに気づいた、と。

 何も人の生命を奪うことだけがあだ討ちではない。

 宗左は相手を赦すことで、あだ討ちよりも大きなことを成し遂げた。

 以前にも書きましたが、半沢直樹の倍返しが流行りましたね。

 ドラマを見てない私に言う資格はないけれど、

 正直、私はああいう趣旨のドラマは好きではありませんし、

 賛同もできません。

 人が恨みや憎しみを受けて、それを倍にして返す。

 そんなことを際限なく繰り返していたら、憎しみはどんどん大きくなって

 最後には皆が憎み合わなければならなくなるでしょう。

    
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