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tsu-mu-gi-uta【紡ぎ詩】
第184章 Tomorrow~直樹と有喜菜、その後
「紗英もシングルマザーとして頑張っているみたいよ」
別れた妻の紗英子は今、化粧品の販売員をしていると聞いた。結婚以来、ずっと専業主婦だった三十七歳の女が突然、一人で生きていかなければならなくなった。
直輝が離婚を決意したことで、紗英子は安定した暮らしを失った。直輝は離婚後、眞歩の養育費だけでなく月々の生活費も渡すと申し出たのだが、生活費の方は断られた。
―私のことまで心配する必要はないのよ。あなたには、これから、あなた自身の生活がある。あなたが眞歩のことを忘れずにいてくれるだけで、私は十分だから。
眞歩が生まれた病院で別れて以来、紗英子にも眞歩にも逢ったことはない。しかし、眞歩の一歳の誕生日に有喜菜と連名でプレゼントを送ってから、有喜菜の許には紗英子から時折、連絡が来るようになったようだ。
逆に、有喜菜が紗英子に連絡をすることもあるらしい。直輝は結局のところ、紗英子を棄て有喜菜を選んだ。言わば、紗英子にとって、直輝と有喜菜は顔も見たくないほど嫌悪して良い相手だ。しかも、三人はかつての幼なじみという関係だった。
別れた妻の紗英子は今、化粧品の販売員をしていると聞いた。結婚以来、ずっと専業主婦だった三十七歳の女が突然、一人で生きていかなければならなくなった。
直輝が離婚を決意したことで、紗英子は安定した暮らしを失った。直輝は離婚後、眞歩の養育費だけでなく月々の生活費も渡すと申し出たのだが、生活費の方は断られた。
―私のことまで心配する必要はないのよ。あなたには、これから、あなた自身の生活がある。あなたが眞歩のことを忘れずにいてくれるだけで、私は十分だから。
眞歩が生まれた病院で別れて以来、紗英子にも眞歩にも逢ったことはない。しかし、眞歩の一歳の誕生日に有喜菜と連名でプレゼントを送ってから、有喜菜の許には紗英子から時折、連絡が来るようになったようだ。
逆に、有喜菜が紗英子に連絡をすることもあるらしい。直輝は結局のところ、紗英子を棄て有喜菜を選んだ。言わば、紗英子にとって、直輝と有喜菜は顔も見たくないほど嫌悪して良い相手だ。しかも、三人はかつての幼なじみという関係だった。