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催眠玩具
第3章 羽化する淫夢

 ――あなたは誰?

 もっともな質問だね。
 だけど、残念ながらキミに教えるべき一番大切なことはそれじゃないんだ。

 僕は逃げようともがく体を抱き止めて、肉の楔を打ち込む。

「……あぅっ!」

 先ほどまでの情事の余韻がはじけて、亜理紗の体を痙攣させる。
 亜理紗……そう、それが彼女の名。

 僕はその名を口にした。

「若槻亜理紗(わかつきありさ)……」

 彼女の顔色が恐怖から、「どうして?」という疑問の色に変わる。

 それはそうだろう。
 僕は続けた。

「若槻亜理紗。株式会社アート・トリル社長。26歳。女性の視点と感性を活かしたマーケティングで着実に業績を伸ばし、業界でも注目を浴び始めた起業家……」

「どうして私の事を……」

 そう。これが彼女に教えるべきこと。
 僕が彼女のことを知っているという事実。
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