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催眠玩具
第5章 玩具同士で
駅から離れた閑静な住宅地にあるセキュリティロックつきのマンションに亜理紗は一人暮らしをしている。
「片付いていますね」
その小奇麗な寝室に案内させ、僕は率直に口にした。
亜理紗は僕の隣で無言のままだ。
まあ、いい。
「じゃあ……出してもらおうか」
「……出す?」
亜理紗が怪訝な顔で聞き返す。
「お金なら……」
ない。と、そう言おうとするのを僕は遮る。
そんなものに興味はない。
彼女だってわかっているはずだ。
「玩具だよ……片付けてあるんでしょう?」
玩具。
よもや別の意味には受け取らないだろうが、念のために付け加える。
「遊ぶほうじゃなくて、使うほうのね」
「そんなもの……持ってないわ」
亜理紗が顔をこわばらせる。
僕はため息をついてみせた。
「わかってないな」
そう言ってクローゼットへと歩み寄り、ガラリと開ける。
そこには何段かの引き出しのついたプラスチック製の収納ボックスが置かれていた。
僕は顔を上げて、彼女を見つめた。
「あるかないかは尋ねてないんだ」
僕の言っている意味がわかるようにゆっくりと区切って言ってやる。
「……出して、と言ったんです」