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催眠玩具
第9章 美獣の檻
高城さんが危ない……!
他のことは全て吹き飛んだ。
あの少年の魔性も、自分にかけられている催眠暗示も、どうでも良い。
私の頭は高城さんのことで一杯になった。
通勤途中で女性に熱い股間を押しつける高城さんの姿が目に浮かぶ。
白昼の街路で、電車やバスの人ごみの中で。
待って、違うわ……!
高城さんは車だもの。自動車なら……。
ほぼ、ドア・ツー・ドアに近い。
それなら他人に触れたり、触れられたりする危険は少ない。
それに気づいてほっと胸を撫で下ろす。
けれど、安心してばかりはいられない。
だって、高城さんが出勤する場所は……。
顔を上げ、オフィスを見渡す。
始業時間が迫り、慌ただしく行き交う社員たち。
更衣室からはかしましい談笑が漏れ聞こえてくる。
高城さんが出勤するのは……ここだもの。
女ばかりのアート・トリルの事務所なのだ。
そんな中、一日中誰にも触れずに過ごすことができるだろうか?