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陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
市サンの弔いの後。

俺は自分の部屋に戻って銭箱の前で思案した。

重くて持てたモンじゃねぇし、ヒトは信用出来ねぇ。

馬にでも乗れりゃ別だけどそれも出来ねぇ。

結局俺は、その金をパーっと使う事にした。

手下を使って吉原の妓夫を呼んだ。
市サンの昔の馴染みの店で、俺が最初に連れてって貰ったとこだったから、市サンの名前を出せば、別に金の出処を詮索されることもなかった。

銭箱をそいつに運ばせて、俺は籠を大門の前に乗り付け。

一回やってみたかった、居続け七日ってのをやった。花魁も揚げた。
最後に一回だけ、花魁とも寝ることが出来たけど。
焦がれ続けた花魁も、抱いてしまえばただのオンナで。終わってしまえばこれといった感想もなかった。
ま、夜っぴて連チャンの宴は夢のように楽しかったけど、やっぱり吉原遊郭はただの夢だ。七日目、銭が尽きた俺は、文字通り裸一貫で大門から放り出される。

妓夫=妓楼で働く男性従業員(下男)
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