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陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
翌朝。
朝餉をご馳走になって、俺は出て行く支度をした。
そしたら、るいさんが聞いてきた。

「どこ行くの?」

「まだ決めてないけど」

「行くとこないんだろ?ウチに居れば良いじゃないの」

「居てもいいなら居るけど、本当にいいの?」

「その辺で死なれても寝覚めが悪いからね。店がハケたら残りモンの一つも持ってきてやるから待ってな」

身体には触らせてくれないのに、面倒は見てくれる。
本当に不思議なヒトだった。

目が見えないから湯屋にも行き難いだろうと、「あたしが出たら、これで身体拭いときな」と、盥に湯を張ってくれたりもした。

るいさんの家に転がり込んで、気づけば七日が過ぎた。

もうそろそろ抱かせてくれてもいいんじゃないか?と思いながら、悪戯心も手伝って、るいさんが寝た後、彼女の布団にそろそろと近づく。

「ねえ、るいさん?」

布団に忍び込みながら、そっと頰に触れた時。

「触らないで‼︎」

俺の手を振り払い、思いの外激しく拒まれた。




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