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陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
るいさんが、飛び退くように身を起こし、俺と距離を取るのが分かった。
「ごめん、そんな嫌がると思わなかったんだよ…」
俺は少し項垂れて、ポツリと呟いた。
るいさんは震える声で。
「あんたにだけは、触られたくなかったのに…」
と呟く。
俺だけはって…そこまで嫌わなくてもいいじゃないか。
俺は不貞腐れて、口を尖らせる。
でも、るいさんが言葉を続けた。
「…これで、わかったろ…」
何が?と不思議に思っていると。
「さっき触って痘痕に気づいたろ?あたしはね、顔も身体も痘痕だらけの、醜い女なんだよ」
痘痕?
そういや、頰にポツポツした瘡蓋みたいな感触はあったけど。痘痕だったのか。
「痘痕って…痘瘡の?」
「そうさ。二十歳の時、痘瘡を病んで、命は助かったけど沢山痘痕が残った。亭主も逃げ出すくらいに酷い顔になっちまったんだよ」
るいさんの声は震えてくぐもっている。泣いているみたいだ。
「今じゃ、あたしを女として見てくれる男なんかいやしない。だけど、あんたなら。目の見えないあんたの前でなら。触られさえしなきゃバレないって…普通の女のフリが出来た。あたしを抱きたいって言うあんたを躱すのが楽しかった。もっと、その言葉を聞きたくて…もう、終わりだけど…」
「ごめん、そんな嫌がると思わなかったんだよ…」
俺は少し項垂れて、ポツリと呟いた。
るいさんは震える声で。
「あんたにだけは、触られたくなかったのに…」
と呟く。
俺だけはって…そこまで嫌わなくてもいいじゃないか。
俺は不貞腐れて、口を尖らせる。
でも、るいさんが言葉を続けた。
「…これで、わかったろ…」
何が?と不思議に思っていると。
「さっき触って痘痕に気づいたろ?あたしはね、顔も身体も痘痕だらけの、醜い女なんだよ」
痘痕?
そういや、頰にポツポツした瘡蓋みたいな感触はあったけど。痘痕だったのか。
「痘痕って…痘瘡の?」
「そうさ。二十歳の時、痘瘡を病んで、命は助かったけど沢山痘痕が残った。亭主も逃げ出すくらいに酷い顔になっちまったんだよ」
るいさんの声は震えてくぐもっている。泣いているみたいだ。
「今じゃ、あたしを女として見てくれる男なんかいやしない。だけど、あんたなら。目の見えないあんたの前でなら。触られさえしなきゃバレないって…普通の女のフリが出来た。あたしを抱きたいって言うあんたを躱すのが楽しかった。もっと、その言葉を聞きたくて…もう、終わりだけど…」