この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
兵衛は呆れた、と言う様子で溜め息を吐いた。

「わざわざ訪ねてきて何かと思えば。金の無心か。生憎だが、金など儂も持っておらんわ。」

「着物の襟に仕込んだ虎の子。どうせあんたの事だから使ってねぇんだろ?それを貸してよ。」

「何故知っておる⁉︎」

兵衛が驚く。

「前に着物に触った時に、硬かったから。なんか仕込んでると思った。大きさからして両判かな、と思ってさ。首の後ろ。左右の前襟と、あとは帯?四、五枚あんだろ?一枚貸してくれてもいいじゃん。」

「何処まで知っておるのだ…」

兵衛が明らかに警戒する。

「なんだ図星かよ。俺が知ってるのは首の後ろだけだよ。脱がした訳でもないのに、前襟やら帯の事なんか知らねぇよ。両判隠せるトコなんか限られるし、あんたのこったから一枚じゃねえだろうとは思ったけどよ。」

「カマをかけられたか。これはしてやられたな。で?儂の虎の子を引っ張りだしてまで何をする気だ?」

「これだ。」

俺は、袂に入れてたモノを兵衛に向けて投げた。

「稼ぐのに元手が要る」

兵衛はそれをパシッと受けた。

兵衛の手の中には、2つのサイコロ。
兵衛は深い溜め息をつく。

「とうとう此処まで落ちぶれたか」

「?」

「博打というのはな。その場で朽ちるからバクチと言うのだ。賭博で活計など立てられぬわ!」

「黙って最後まで人の話を聞けよ。俺は遊興で賭けようってんじゃない。勝機があるから言ってンだ。
いくら俺でも、遊びにあんたの虎の子使ったりしねぇよ。」

「勝機だと?」

「説明するより見た方が早い。振ってみて。」

「振れと言われてもな。壺などないぞ。」

「湯呑みでいいよ。俺も湯呑みで試したから。」

「賽の目など判るものか。お前、天下三大不如意を知らんのか。」

「天下三大不如意?あぁ、賀茂川の水、双六の賽、山法師ってやつか。でも、俺は思い通りの目を出そうってわけじゃない。出た目を読もうとしてるだけだ。だから如意じゃなくていいんだよ。」

「そうか。」

「最初に上になる目だけ教えて。あとは転がる数と方向で検討つけるから。」
/72ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ