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陽炎 ー第二夜ー
第2章 勝負師
「では、はじめは一、一から。」
兵衛が湯呑みに賽を投げ入れる。
カランッという軽い音を立てて、サイコロが転がる音。
兵衛の湯呑みと、るいさんの家の湯呑みは、大きさや厚みが違うんだろう。音の響きが違う。
でも、この程度でわからなくなるようじゃこの作戦は失敗だ。
賭博なんか行った事ねぇから、本物の壺が何でできてるかも判らねぇ。
耳に神経を集中させる。
「出たぞ」
「五、三、丁。」
「もう一度。次はニと六から。」
兵衛は当たったとも外れたとも言わず。再びサイコロの音。
「一、四、半」
「もう一度。五と三から。」
「ニ、四、丁」
兵衛がふぅー、と息を吐く。
「まだ耳は死んでおらんな。的中じゃ。」
と笑った。
「湯呑みは音が響くから分かりやすいんだ。本物の壺はどうか。壺振りとの距離とか、賭場の雑音とか。気になる所はいっぱいあるけど、試す金がねぇ。だから今日ここへ来たんだ。頼むよ兵衛。俺に機をくれないか?」
兵衛が湯呑みに賽を投げ入れる。
カランッという軽い音を立てて、サイコロが転がる音。
兵衛の湯呑みと、るいさんの家の湯呑みは、大きさや厚みが違うんだろう。音の響きが違う。
でも、この程度でわからなくなるようじゃこの作戦は失敗だ。
賭博なんか行った事ねぇから、本物の壺が何でできてるかも判らねぇ。
耳に神経を集中させる。
「出たぞ」
「五、三、丁。」
「もう一度。次はニと六から。」
兵衛は当たったとも外れたとも言わず。再びサイコロの音。
「一、四、半」
「もう一度。五と三から。」
「ニ、四、丁」
兵衛がふぅー、と息を吐く。
「まだ耳は死んでおらんな。的中じゃ。」
と笑った。
「湯呑みは音が響くから分かりやすいんだ。本物の壺はどうか。壺振りとの距離とか、賭場の雑音とか。気になる所はいっぱいあるけど、試す金がねぇ。だから今日ここへ来たんだ。頼むよ兵衛。俺に機をくれないか?」