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陽炎 ー第二夜ー
第3章 願わくば花の下にて
「勿論、頭領にはそこまでしなくていいと、無理するなといつも言われていたけれど。私は元々男娼あがりだし、男に抱かれることも別に何とも思っちゃいない。
それで仕事が上手くいくなら…頭領の役に立てるなら易いものだった。」
「……」
言葉を失う鷺に、八尋は尚も畳み掛ける。
「何解せない顔してるの?相手が男に興味ある奴ばっかじゃないだろって?それでもやりようはある。
身体の一番弱い部分を押さえちまえば、男なんて簡単なもんさ。何なら試してみる?
私の舌は別珍のようだと言われてるんだよ?
三十数える間に、極楽に逝かせてやるよ。」
挑戦的に吐き捨てた八尋に、鷺は眉を顰める。
「…一体、何があった…?
そりゃ俺らの仕事はお前の上げてくる情報にかかってた。その事に俺の配慮が足りなかったのは認めるよ。
…でも、少なくとも俺の知ってるお前は、仲間にそんなこと言うヤツじゃなかった…何かあったなら、話くらい聞かせてくれよ。力になるなんて偉そうなこた言えねぇけどよ、なんか出来るかも知れねぇじゃねぇか。
それとも、もう俺の事なんか仲間とも思っちゃいねぇか?」
鷺は今にも泣き出しそうな顔だった。
八尋は自嘲的な笑みを浮かべる。
「…ごめん。こんなこと言うつもりじゃなかった…ただ、色々あってさ。ちょっと疲れてるんだ。
そこにきてお前らがあんまり幸せそうだったから、ちょっと灼けただけ。」
「猫ちゃんと、なんかあったのか?」
「ううん。何も。サチとは何も無いよ。何にも、ね…」
八尋は冷めた茶を飲み干し、立ち上がる。
「さ、私もそろそろ帰ってやらないと。サチが待ってる。ここは私が払っとく。鷺、またね。」
それだけ言い残し、八尋は去っていった。
鷺は、沈痛な面持ちで冷めた茶を飲んだ。
それで仕事が上手くいくなら…頭領の役に立てるなら易いものだった。」
「……」
言葉を失う鷺に、八尋は尚も畳み掛ける。
「何解せない顔してるの?相手が男に興味ある奴ばっかじゃないだろって?それでもやりようはある。
身体の一番弱い部分を押さえちまえば、男なんて簡単なもんさ。何なら試してみる?
私の舌は別珍のようだと言われてるんだよ?
三十数える間に、極楽に逝かせてやるよ。」
挑戦的に吐き捨てた八尋に、鷺は眉を顰める。
「…一体、何があった…?
そりゃ俺らの仕事はお前の上げてくる情報にかかってた。その事に俺の配慮が足りなかったのは認めるよ。
…でも、少なくとも俺の知ってるお前は、仲間にそんなこと言うヤツじゃなかった…何かあったなら、話くらい聞かせてくれよ。力になるなんて偉そうなこた言えねぇけどよ、なんか出来るかも知れねぇじゃねぇか。
それとも、もう俺の事なんか仲間とも思っちゃいねぇか?」
鷺は今にも泣き出しそうな顔だった。
八尋は自嘲的な笑みを浮かべる。
「…ごめん。こんなこと言うつもりじゃなかった…ただ、色々あってさ。ちょっと疲れてるんだ。
そこにきてお前らがあんまり幸せそうだったから、ちょっと灼けただけ。」
「猫ちゃんと、なんかあったのか?」
「ううん。何も。サチとは何も無いよ。何にも、ね…」
八尋は冷めた茶を飲み干し、立ち上がる。
「さ、私もそろそろ帰ってやらないと。サチが待ってる。ここは私が払っとく。鷺、またね。」
それだけ言い残し、八尋は去っていった。
鷺は、沈痛な面持ちで冷めた茶を飲んだ。