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陽炎 ー第二夜ー
第3章 願わくば花の下にて
「ん…ぅん…んん…」

「サチ…?大丈夫?」

隣で眠るサチの肩を優しく揺す振って起こす。

「うなされてたよ…?」

薄く目を開けたサチは、目の前の顔を認め、眉根を寄せる。

その顔に少し寂しいものを感じながら、八尋はそっとサチの肩を抱く。

「また、頭領の夢を見たの…?」

サチはその問いに目を逸らし、唇をきゅっと噛んだ。

その、悔いるような、申し訳無さそうな表情こそが、肯定の印。

それでも。

それを責めることは出来ない。

「八尋…」

サチは、目の前の八尋の首に腕を回し、きゅ、と抱きついた。

その身体を受け止め、優しく抱き締めながら、八尋も哀しげに目を伏せた。

八尋はそっ、とサチの腰巻きの中に手を入れる。

びくりとサチの身体が震え、逃げようと腰を引いた。

気にせず秘所に指を触れると、そこは、しっとりとした潤いを湛えている。

「夢の中で、頭領に抱かれた…?」

サチは歯を食いしばり、目の下に朱を走らせる。

「責めているのじゃないよ。ただ、こんなになってちゃ、寝るに寝られないだろ?一度、気を遣った方がいいね。脚を、ひらいて?」

そう言うと、布団の中に潜り込んで行く。
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