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恋花火***side story
第21章 不機嫌なBOY
本来俺がそれをすべきだったけど、タケルが陰でしてくれていた。


俺はこの時に悟った。


きっとタケルは来年キャプテンに選ばれるだろうなって。


物言いはぶっきらぼうだけど、誰よりも思いやりがあって、周囲からの信頼も厚い。


これなら菜月ちゃんも首ったけになるわけだ。


タケルを見習い、俺は二年生に話をつけに行った。


一緒に頑張りたいということ。


そしてプレッシャーに負けそうなこととか、弱い部分も全部腹割って話した。


そうしたら


二年生もみんな来てくれるようになった。


初めて部員みんなでグラウンドを整備したとき、俺はコッソリ涙を流した。



「…タケル」


明日から夏休み、終業式の日に


俺はタケルに礼を伝えた。


部がまとまったのはタケルのお陰だから。


ようやく礼を言えてホッとしていると、


「…陸先輩の実力じゃないすか?」


それっていつかの俺のセリフ。


「辛かったとき助けてくれた人のこと、絶対忘れません。俺は何度も陸先輩に救われたから。」


それもまたどこかで聞いたことのあるセリフだな。


そう言っていたのは誰だったか、思い出せないけれど。
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