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恋花火***side story
第22章 サマーラブ
そして始まった夏休み。


まだ慣れないキャプテンという大役に疲れて、家よりも近い郁のアパートに泊まる日々が続いた。


郁は日中大学に行っていて、夜遅くまでガソリンスタンドでバイトしている。


だから帰る時間がどちらも遅いため、居候させてもらってる俺が夕飯を作る約束。


そんなある日、俺が夏風邪をひき寝込んでしまった。


郁は"夏風邪はバカがひく"とからかってきて、応戦したいけどとてもじゃないがそんな元気はなかった。


郁は合間をぬって代わりに食べるものを用意してくれたけど、さすがに体調悪いときに食べれないようなもんばっか出してきた。


例えばトンカツとか…


「ワガママ言うな。食え。」

「…無理。見てるだけで吐きそー」

「失礼だな。誰か作ってくれるようなコいないわけ?」


郁に言われて、一瞬浮かんだのは菜月ちゃんの顔。


…いや、今のなし。ないない。


「…お願いしてみるかな…ここに呼んでもいい?」

「どーぞ。」


連絡をした30分後


大きな買い物袋を二つ抱えて飛んできてくれたのは、茜。


「ごめん…」

「うわぁ陸が弱ってる。」


茜は面白がってるけど、そうしてる間にもグングン熱が上がっていくのがわかる。


「陸の彼女?」


郁に聞かれて、茜は精一杯否定していた。


いつもなら偽装交際アピールするのに。


「ひゃあ〜!39度越えてるよ!?あんた死ぬんじゃない!?」


ほんとまじ死ぬかもしんない…


風邪ってこんなにキツかったっけ…


「陸疲れてるんだよ」


茜の手が額に乗せられて


冷たくて気持ちよかった。


「…茜」

「ん?」


熱にやられてる俺は、かなり意識もぶっ飛んでたと思う


身体が熱くてフワフワする


そんで目の前はグルグルする……






…俺、どうしたらいいかな


エリカを


一人の女の子と、そして可愛い天使まで傷つけてしまった俺が


恋なんか許されると思う?


ねぇ……








"恋する気持ちは誰にも止められないよ"


茜なのか


それとも会えなかった天使なのか


そう声が聞こえた気がした。
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