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恋花火***side story
第22章 サマーラブ
菜月ちゃんはいつもニコニコ笑っていたのに


あの噂が飛び交ってからは、その笑顔は見ていない。


俺の心を掴んだえくぼも浮かばない。


一方タケルはというと


部活のあとも茜といるみたいだった。


部室裏で話し込んでるのを部員が目撃したこともあったし


普通ならば、皆はここで茜がタケルに浮気した。


そう思うだろう。


実際に俺は、"元気出せよ"そう周囲に励まされていたのだから。


だけど茜の"あのこと"を知っている俺は


茜の狙いはタケルじゃないとわかっていた。


…そう


茜の狙いは、菜月ちゃん。










「どういうつもりだよ」


ようやく茜と話したのは、噂が飛び交ってから2週間後のこと。


茜はそっぽを向き、こちらを見ない。


「最近態度悪すぎ。」

「…うるさい」


茜の昔からの悪い癖


すぐに周囲と距離を置こうとする


話もせず、蓋をして逃げる


「…菜月ちゃんにはタケルがいるって言ってたのは茜なのに。」


責めに入った俺のことを、ようやく茜は見た。


冷たい視線で。


「…陸には言われたくない」

「は?」

「菜月ちゃんのこと好きなくせに、否定ばっかしてて。女々しい。」

「…なんだそれ」

「郁さんに言われたよ?聞いたでしょ?きもいんだって!陸のこと狙ってるのひた隠しにして気持ちわるーって!」

「…あいつの言うこと気にすんなよ」

「気にするよ!…言っとくけど、あたしはあんたが大っ嫌い!…いい子ぶってて、八方美人で。そういうとこ、大っ嫌い!!」


そう言い捨て、茜はいなくなった。


"大っ嫌い!!"


この何秒間に2度も大っ嫌いと言われて


非常に気分が悪い。


そんな悶々とした日々の中


唯一癒してくれたのは


毎朝電車の中と、そしてグラウンドで見かける菜月ちゃんだった。


電車ではボーッと海を眺め、寝起きの赤ちゃんみたいに目をこする愛らしい姿。


グラウンドでは、プライベートでどんなことがあろうと手を休めない頑張る姿。


タケルと茜のツーショットにも、泣かないで踏ん張ってる。


笑顔はないけれど


えくぼはないけれど


……やっぱりすごく、好きだ。
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