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恋花火***side story
第3章 ABC-Z
沢田ユズキには、直球で伝えたと思う。


まだオブラートに包むなんて知らない。


別れたい、とにかく自由になりたい一心で話をした。


「……いやだ。」


沢田ユズキの瞳からは、たくさんの涙がこぼれた。


そのときふと、不謹慎にも思い出したのは茜の泣き顔。


あのとき茜は、必死に涙を隠し、無理矢理にでも笑っていた。


けれど沢田ユズキは、むしろ見てくれと言わんばかりに泣いている。


「俺、まだ恋愛とかよくわかんない。」

「これからわかっていけばいいじゃん!」

「サッカーに集中したいし。」

「邪魔しないからお願い!」


何を言っても返されて、俺はもうなんて言えばいいのかわからなくなっていた。


「……わかった。」


けれど沢田ユズキは、最後には了解してくれた。


「ハッキリ言ってくれてありがとう。」


俺は解放されたという喜びで、胸がいっぱいになった。


なにか重い鉛が取れたように、身体が軽くなった。






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