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恋花火***side story
第4章 年上キラー
翌日、学校へ行くと「おはよ」って話しかけられた。


振り返ると、声をかけてきたのは沢田ユズキだった。


「おぉ、はよ。」

「普通にしよーよ」


バシッと肩を叩かれた。


そっか、普通か。


でも一回そんな感じになった女の子と、普通に接するって難しいな。


女ってすげぇ……とか、そんな事をぼんやり考えていた。


やっと本来の生活に戻れた俺は、またサッカー漬けの毎日。


練習試合の連続で、授業中はぶっちゃけ寝通しだった。






とある日の体育の授業。二人ペアになる体操では、俺はスイと組んだ。


「最近陸元気じゃん。」

「まーね。」

「家落ち着いたらお好み焼き食いてー」

「ほんとだよなぁ…」


相変わらず家の中はゴタゴタしているけど、なんとかやり過ごす事も出来ていた。


親たちのいざこざに巻き込まれないよう、必死に耐えた。


スイと体操しながら、ふとあたりを見渡すと


茜が一人でポツンと立っているのが見えた。


「あかねー」


話しかけると、茜は嫌そうな顔をして一言。


「あっち行って。」

「なんで?」

「なんでも。理由なんかないもん。」


今にも泣きそうな顔して、なに言ってんだか。


ツン、と指でつついたら


涙が溢れちゃいそうな茜の瞳。


「一人?俺とやる?」

「いらないってば。」

「だって茜一人でいるの気になるし…」

「気にしなくてもいいよ。」


そんなやり取りをしていたら、茜はプイッとどこかへ行ってしまった。


「りくー」


スイが隣に来て、そっと耳打ちされた。


「おまえなんも知らないんだな。」

「なにを?」


するとスイは、とんでもないことを言ってきた。


「あいつと口聞くとハブられるって噂流れてたじゃん。」

「はぁ?なんだそれ?」

「なんかさー」


それは女子の一部から始まったらしい。


茜の"あの事"がどこからかバレて


それからは話が大きくなり


今では茜と口を聞くものは誰一人いないという。


「知らなかった…」

「まぁ俺たちサッカーで忙しかったしな。」

「なんで…」


なんでバレてんだよ。


そもそも、そんな理由でハブられるとか


意味わかんねーよ。

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