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恋花火***side story
第28章 闘うオンナ
「あらあらタケル君!また女の子泣かせてるのー!?」


近所のおしゃべりババアに目撃された。


つい先日菜月が泣いてるとこも見られたオバハン。


なんかめんどくせーことになりそうだから、泣いてる茜先輩の手を引いてその場を引き上げ


とりあえず俺の家に連れてった。


家に入るとバッタリ母親に遭遇。


あんた何してんのみたいな目で見られたけど


俺はなんもしてねー!


「泣くのズルい。卑怯。」


茜先輩を部屋に入れて、泣き止むよう説得を試みる。


けど全く泣き止まないというか更に水かさが増したような…


泣きたいのはこっちだよ。


茜先輩は、あろう事かウトウトし始めた。


…どうなってんだ。


子どもみたいに泣いて寝ちゃった茜先輩。


…でも


今日までだいぶ悩んだだろうなーとその寝顔を見て思った。


中学のとき、いじめられてたという過去。


なのにそれでも告白するって、どれだけの勇気が必要だったことか。


…ちょっと言い過ぎたかも。


反省の意もこめ、茜先輩に毛布をかけた。


「…タケル君って優しいよね…」

「うわ!起きてたんですか!?」

「ううん…一瞬寝てた、ごめん。」

「いいですよ寝てても。」

「ちゃんとお話する…」


そこにいる茜先輩は、いつもの先輩と違ってた。


弱気で、控えめで


これが本当の茜先輩なのかなぁと思った。


「…こっち来て。」

「えー」

「…嫌ならいい…」


また泣きそうになってるし。


本当どうしよもない人だ。


可笑しくて思わず笑ってしまった。


茜先輩の隣に行くと


涙に濡れてる瞳と、至近距離で目が合った。


自然に交わされたキス。


それは今までとなんら変わりない


茜先輩の傷をただ癒すだけのもの。


いつもよりちょっとばかし激しいキスをされる。


暗い部屋で、二人きりで。


さっき雨に濡れたから、濡れた服を脱ぎ薄着の俺たち。


茜先輩なんか下着透けちゃってるし。


その状態でキスなんかしてるのに


ちっとも男として反応しない俺は


本当に病気なのかもしれない。


菜月を想う、恋の病。
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